虚構世界で朝食を

Breakfast at fiction world

原点回帰

 kazumaです。久々にブログに戻ってきました。思うところもありまして。今日は、少し早いですが今年度の振り返りと、未来の創作活動について、考えをまとめつつ、お話しします。
 
 思えば今年は、継続して執筆する環境を整える為の一年だったように思います。創作の場作り、とでもいいましょうか。新しい職場での勤務、文学学校への入校、オンライン執筆グループの立ち上げと頓挫、古書店一馬書房での活動……。ほんとうに今年も失敗ばかりをしていましたね汗 この一年は執筆と文学活動に集中すると年始で決めましたが、それに伴う周辺にも手を広げたところもあり、肝心の執筆活動が芳しくならなかったという点がやはり敗北かなと思います。
 
 結果的に今年書いたのは三月に新潮に出した中編がひとつと、短編が二つ、あとは夏から本格的に取り組み始めたいまの中長編の原稿、といったところでしょうか。やはり半年に一作がいまの私の執筆ペースのようです。プライベートで落ち着ける時間が中々作れず、職場でも苦労して、ようやく十二月になって生活が回り始めたという印象です。
 唯一、続けられたのはTwitterでの活動でしょうか。最早、Twitterが生息地ですが笑 140字の限界も感じ、ブログへの回帰が必要だと思い、戻ってきました。
 
 この一年はそうですが、割と柄にもないことに手を出したことで、執筆やブログなど、普段のオンライン活動にも影響が出てきてしまったなと感じています。糊口を凌ぐために為すべき仕事を終えたら、あとはとことん本当に好きな文学に、すべてを注ぎ込めばよかったのだと。そんな後悔のある一年でしたが、収穫はありました。プライベートは個人の文学活動を中心に行えばよい、ということがこれではっきりと理解できたので。一等気に入った、嗜好にあうやり方、それだけでもう十分なのだと。
 
 新しい仕事を始めたことで、念願のひとり暮らしも遂に叶いました。いまは生活の場、兼、個人書斎として、新たなワンルームを使っています。ひとよりも随分と遅れたスタートですが、私にとってはここがはじまりなのだと思います。偶然ですが、赤い煉瓦色の老舗マンションの一室を借りることになり、カポーティの『ティファニーで朝食を』で主人公のポールが借りたアパートをひとりで思い出して、にやにやとしているkazuma氏です笑
 
 このブログは来年の三月までに、作家になることを目指した記録としてログを残してきましたが、ここ一年で様々な文学に関わるひとたちとオンライン、オフラインで出会い、執筆活動についての考えが徐々に変わってきました。
 
 夢に期限を切ることも、作品の〆切同様、必要かと思い、二年前の当時は作家になるために仕事を辞したような逼迫した面もあって、2019年3月を、一つの期限としました。
 
 ですが、作家というものは、計画的に努力すればなれるようなものではなく、そんな経済観念で出来上がった考え自体が甘いのだということを、ここ一年で痛感していました。小説家は(恐らくですが)、必然的になるべくしてなった、という作品が書けて、結果的にプロになるものであり、先に小説家になりたい、という願望が先行するようなものではないと思います。
 
 そもそも、きちんとものを書いていれば、そのひとは既にもの書きです。それで飯を喰っていけるもの書きと、そうでないもの書きがいるだけです。私は後者でした。
 
 これからもプロを目指すことに変わりはありません。いつかは小説のことだけを考えて生活できるようになりたいからです。しかし、いまの現状では、到底、叶わぬ夢だということも骨身に沁みて気付いています。
 
 ならば後者として、いまは飯を喰っていけないもの書きとして、この状況を足掻いて愉しんでやろうと思っています。それで食べていけようが、そうでなかろうが、文学は文学です。才に富める者にも、貧しき者にも、言葉は与えられているのだと信じます。
 
 望むものを突き詰めることこそ、私の人生においては肝要なことで、それが与えられた役割でもあるのだと、勝手に思っています。金のために文学をやっている訳ではないのです。
 
 私の文章は文学賞から見向きされるものではありません。形は整っているが、中身が無く、傲慢で、独り善がりな文章だとよく言われました。もともと自分自身に宛てて書いてきた小説だったからです。読者は常に自分で、本来、人に読ませるようなものではありませんでした。
 
 ですが、いまは何のために書くのかを、朧気ながらに知っています。それが二年前の私と明らかに違う点です。自分と同じ、ひとりぼっちの孤独を抱えざるを得なかった人間のために、この世の何処にも居場所を見つけられなかったひとのために、泣こうにも泣くことの出来ない苦しみを知っている、そんな私に似た十字架を背負ったひとと、言葉を分かち合う為に、書くのだと。
 
 食べていけようが、そうでなかろうが、もの書きはもの書きなんだといまの私は知っています。文学はそのひとが一生を懸けて追うものです。はじまりはあっても、終わりはありません。最初から期限を切るようなものではないのです。
 
 むしろいまのこの下積みの期間こそが、これからの私の文章を形作り、自分独自の小説との付き合い方、新しい型を生み出すのだと思います。
 
 私は私なりに、文学の道を歩んでいることを、これから見てくださっている人たちと一緒に、この言葉の網の上で、新しい道を切り開くさまを示すことができればなと思って、これからのもの書き活動を続けていきます。
 
 来年三月の群像に作品を提出後、結果が判明し次第、この『虚構世界で朝食を』のブログの役割は終了するので、更新を停止します。それ以降は、無期限にkazumaの文筆活動をお伝えする自前のブログサイトを、独自ドメインで立ち上げようと思っています。できればそこで、文学談義ができるような場を、このオンライン上に、もう一度設けられればと願っています。今度は執筆グループとしてではなく、個と個が繋がり合う、誰にでも開かれた場として。因みに、古書店一馬書房としての活動は続行です。noteは研究成果などを発表できる場として今後も活用します。
 
 いまは来年三月の群像の作品提出に向けて、執筆に取り組みます。また近い内にお会いしましょう。このウェブの何処かで。
 
 書き続けると誓ったことを、私は忘れていません。いまでも。
 
 2018.12.12.

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