虚構世界で朝食を

Breakfast at fiction world

文学書生kazumaのもの書きベストバイ(2017-2018シーズン)

 こんばんは、kazumaです。2018年もいよいよ暮れようとしてきましたね。
 今年は何があったかなあと振り返るとき、身に起きた出来事を振り返るひともいれば、何気なく見た景色の一コマを思い出したりするひともいるでしょう。kazumaとしては、今年は執筆と生活環境の構築に手間暇を注いだ年でした。なので、ここではひとりの物書きとしての視点で、kazumaが買ってよかったなあと思った執筆グッズやおすすめの本をご紹介します! 毎度ながら、唐突な企画ですが笑 普通に振り返るよりも面白いかなと思いまして。もしかしたら、同じもの書きのひとには参考になる部分もあるかもしれません。それでは、いってみましょう。紹介順は時系列です(おおむね)

1.『一太郎2017 スーパープレミアム』(2017年 8月) 
 おすすめ度:★★★★★
 これがなければ始まらない。皆さんご存じの日本語ワープロソフトの最高峰、『一太郎』の2017年度バージョンです。これは去年の夏に買った記憶があります。発売当時、ネット小説界隈で『もの書きを狙い撃ちに来ている』と話題になりました。具体的には小説専用のファンクションキーが実装されたり(傍点や約物がFキーひとつで打つことができる)、今までなかった美しい高級書体(筑紫明朝など)が入っており、Twitterで見たときにかなり刺さりました。私はワープロソフトは大学時代から一太郎を使用しており、2013玄からの愛用者です。ATOKという非常に優秀な日本語変換が含まれており、いまとなってはワード全盛の時代ですが、昔から公的機関や学術機関で採用されていた老舗のワープロソフトです。小説家やライターなど、日本言語の精度を求められる職業でよく使われています。私はこの一太郎がある、という理由だけでMacを使用せず、PCは常にWindowsです。Macには一太郎は残念ながら対応していないのです。もし、もの書きのあなたがWindowsPCをお持ちであれば、一太郎を執筆エディタとして推薦します。私は最上位版のスーパープレミアムを購入しましたが、ただ単に付録のマウスと、文章を読み上げてくれる『詠太』が欲しかっただけなので、購入する場合は単体の無印一太郎を薦めます。無印一太郎は一万円もあれば購入できます。古いバージョンをひとつでもお持ちの場合は、バージョンアップ版で安く利用できます。
 2017エディションに特に不満のようなものはないのですが、唯一、ポメラDM200に対応していないことが誤算でした。一太郎には『ソプラウィンドウ』という機能があり、USBで繋げば、ポメラと連携する機能があるのですが、2017年版は未対応でした。2018年版はポメラDM200との連携は確認されているようなので、ポメラニアンポメラユーザーを俗にそう呼ぶ)の方々は安心して購入できますね笑 電子書籍にもボタンひとつでファイルをまるごと変換してくれるので、オンラインで活動していきたいなと考えている方にもおすすめです。小説を書くには、最低限、このソフトとPCがあれば、問題なく書けます。 
一太郎2018 通常版

一太郎2018 通常版

 

 2.パーカー 万年筆 ソネット ブルーラッカーCT(2018年2月購入)
 おすすめ度:★★★★☆

 これは今年の二月に購入しました。私の誕生日です笑 残念ながら、今年も誰からもプレゼントはもらえませんでしたが(←)、マイルールがありまして、毎年、執筆に関わるものを必ず誕生日に、自分宛に購入するようにしているのです。筆記具は英国のペンブランドのParkerのものだけにこだわっています。私の読書体験のはじまりは、小学校の頃に図書館で借りた『シャーロック・ホームズの冒険』がすべてのはじまりです。その物語を書いたアーサー・C・ドイルが使っていたのが、このParkerの万年筆、デュオフォールドでした。デュオフォールドはウン万円とするのが普通の万年筆ですが(どうやら万年筆の世界も青天井のようです)、私が買ったのは中堅クラスのミドルレンジシリーズのSonnetという型です。因みにSonnetは、詩という意味を表し、詩小説を書く私にはぴったりなのでした。この万年筆を買い求める為に、地元の老舗万年筆店を訪ね、何度か試し書きをし、最も好きな鮮やかな青色をしたブルーラッカーCTを購入しました。銀色の名入りにしていただき、お値段は二万弱でした。名前を入れなければ、アマゾンでは一万から二万円までで買うことができます。今年は持ち出し用のソネット(ブラック)を購入するか検討中のkazumaです。ところで誰か……笑
3. J.D.Salinger『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ ハプワース16、1924年』(2018年6月)
 おすすめ度:★★★★★
 今年読んだ本の中で間違いなくNo.1の出来映え。サリンジャーの新邦訳が出るなど、誰が予想できたでしょう。『ライ麦畑』に親しんでいる読者であれば、ホールデンに再び出会えるような、そんな感動が味わえます。どんなに懐かしい気持ちで、一行一行を、愛おしく追ったことか。『ハプワース16、1924年』では幼き日の長兄、シーモア・グラスが登場。個人的に、この本はサリンジャー・オールスターズ、といった印象です。サリンジャーの『ライ麦畑』『バナナフィッシュ』が好きなら、この本を読んで後悔することはありません。いえ、読まなかったことを後悔するようになるでしょう。

 

 

4. MOLESKINE ノートブック evernote エディション (2018年 夏頃)
 おすすめ度:★★★☆☆
  ベタですが。MOLESKINEのノートブック。いままでは一冊の値段が高くて、代替品のノートを使っていたのですが、一冊を埋めるのに丸半年~一年かかることもあり、それくらいの投資なら、最初からよいものを使おう、ということで。evernoteエディションは、例の象さん印にビビッドなグリーンカラーで、アクセントがあって気に入っています。主にこれは執筆周り、というよりかは、個人的な目標、大事な計画などを書き込むノートブックにしています。evernoteエディションは、三ヶ月のプレミアム無料コードもついているので、年四冊買えばプレミアム丸一年の運用も可能? かもしれません。
5. ツバメノート B5 (2018年 夏 買い増し)
 おすすめ度:★★★★★
 泣く子も黙るノートブック。それがツバメノートです。小説を書くときは常にこのB5ノートを使用します。ノートとしての品質は、今まで使ってきたノートの中で最高級のものだと個人的には思っています。しかも、どこでも手に入れることができ、安価で、コスパも大変よろしい一品です。又吉さんも執筆に使っていたような……(映像の中に映っていたことがあった)。中村文則さんは、物語に合わせてその物語に合うような個性的なノートを毎回使用されているそうですが(憧れ)、私としてはいつか書き上げた小説ノートが、同じノートブックでずらりと並ぶ瞬間が見たいのです。丁寧に保管すれば半永久的に保存が可能なフールス中性紙が使われており、万年筆のインクの乗りもよく、ボールペンの筆記でも滑らかです。攻守ともに優れた執筆のお供に、どうぞ。
 6. アンドレ・ジッド『狭き門』(2018年10月)
 おすすめ度:★★★★☆
 個人的に十月はジッドの衝撃にただ酔いしれておりました。某SNSでも、ジッド、ジッドと連呼しておりました。それくらいジッドは刺さりましたね。元々この本は、いまは疎遠になってしまった知人に教えてもらったもので、なんとなくこの一冊が、最後の思い出の本のようになってしまいました。エピグラフでは聖書の一節が引用され、ルカ伝十三章二十四節より、『力を尽くして狭き門より入れ』との言葉にぶつかります。では『狭き門』とは何なのか? それを考えながら読んだ本でした。宗教をテーマに扱った本で、主人公ジェロームと聖女アリサの瑞々しい恋愛ののち、神の愛を選ぶのか、人の愛を選ぶのか、といった、普遍的な主題がこのタイトルの裏に込められています。個人的に、ジェロームとアリサはどのように、それぞれの『狭き門』に入ろうとするか、『狭き門』とは信仰の門だったのか、という点に興味があり、趣味のタロットカードと対比しながら解釈できたこともあって、非常に実入りのよい作品でした。『背徳者』に最も興味があったのですが、この本から入ったのは正解だったと思います。これからもジッドの作品を大切に読むことに変わりはありません。
狭き門 (新潮文庫)

狭き門 (新潮文庫)

 

 7. Meiji 『The chocolate カカオ70% Comfort Bitter BEAN to BAR』(2018年10月~)
 おすすめ度:★★★☆☆

 明治のThe chocolateシリーズ。コンフォート・ビター。毎度ながら流行から遅れるkazuma氏(『バーナード嬢』の遠藤みたい。このネタわかる人いる?笑)ここ最近になってようやくハイカカオチョコレートに目覚め、様々な味を食べ比べた結果、最終的にコンフォート・ビターのチョコレートが優勝ということになりました。異論は認めません、満場一致です。黙ってこのチョコレートを選びましょう。なお、奇しくも一番はじめに食べたカカオ・チョコレートでした。これを食べながら、原稿を書くと速度が三割増しになります(kazuma比) 糖分と冴え渡る苦みが、あなたの執筆を加速させます。以上。
8. 静かなワンルームアパート(2018年11月)
 おすすめ度:★×∞
 はい。これがすべてです笑 今までいろいろと訳あって実家暮らしをしていたのですが、今月で卒業いたしました。ものを書く環境において、最も必要なものは、単純に孤独のみです。環境という面ではこれが最も大きなものでした。『ティファニーで朝食を』には、作家のポールとヒロインのホリー・ゴライトリーが住むアパートメントがありますが、ポールの部屋には『ものを書く人間として必要なものがすべてそこにあった』といい、そんな部屋に随分長らく憧れたものでした。そのアパートメントは赤い煉瓦色をしているそうですが、私も偶然ながら赤い煉瓦調の老舗マンションの一室を借りることができて、ひとりでにこにこしながらものを書いています。あとはホリー……泣
ティファニーで朝食を (新潮文庫)

ティファニーで朝食を (新潮文庫)

 
9. Simplenote アプリ (2018年 12月)
 おすすめ度:★★★★☆
 いままでは、ネット関係の記事、オンライン古書店のデータ入力などはevernoteを使用していたのですが、evernoteは数年前から台数制限二台の謎縛りがあり、新しいPCを購入した私は、泣く泣く次のデータお引っ越し先を探し、ようやく辿り着いたのが、このアプリでした。IOSWindowsともに動作し、テキストデータのみの扱いですが、オンライン上の横書き文書にはもってこいのアプリです。同期も問題なく、スムースで、evernoteのような万能アプリではないですが、使っている内にじわじわと良さがわかり始める、そんなテキストアプリです。
Simplenote

Simplenote

 
10. Microsoft Surface go メモリ8GB SSD 128GB (2018年 12月)
 おすすめ度:★★★★★+★
 kazumaの新しい相棒、『surface go』くんです。goくんは非常に優秀なアシスタントで、私の夢を叶えてくれそうです。ずっと昔から、どこでも執筆できる環境があればいいなと考えていました。その為には、執筆マシンが必要でした。かねてより、執筆にはポメラシリーズを愛用してきましたが、唯一、ポメラに出来ないのは一太郎ウィンドウでの文書編集です。どこでも持ち出して執筆だけに集中する為には、ポメラは最適解であったのですが、数年使い続ける内にわずかながら弱点もはっきりしてきました。ポメラ搭載のATOKでは堅い文章になりがちになってしまう、という変換の問題と、全文章を編集する能力です。それ以外はすべて問題ありません。ただネットに繋がっていないと、文章を打つことは出来ても、最後のアップロードまでは出来ないので、どうしてもPCマシンは必要なのでした。仕事からプライベートまで、オールカバーしてくれる、そんな文書作成マシンを探していたのです。結果的にSurface goはそのすべてを叶えてくれることになりそうです。どこへでも持ち出せるサイズ感と10インチというジャストな作業スペース。お値段もProに比べれば手頃で、もし何か不備や、損壊があったとしても、三ヶ月ほど仕事を頑張れば、買い戻すことも出来る。私の用途は主に文書作成、ブログ記事の投稿、ライティング案件など、ほとんどがテキストベースのもので、これ以上でもこれ以下でもない、ベストな選択肢がgoくんだったと、使ってみてわかりました。きっとこのマシンは夢を叶えてくれる、そんな気持ちにさせてくれるWindowsPCであり、これからの相棒です。
マイクロソフト Surface Go (128GB/8GB) MCZ-00014

マイクロソフト Surface Go (128GB/8GB) MCZ-00014

 
<まとめ>
 これで締めとなりますが、いかかでしたでしょうか。今年はブログよりもTwitterによく生息しておりましたので、久々に記事を書いて、やっぱブログいいなあ、と回帰したくなりました。140字でしか言えない、スピード感のある文章もあるけれど、やっぱり私の本領はつらつらと書き連ねるこの無制限のノートブックにあるのだなと再確認しました。私も今年を少し振り返るように書けて、楽しかったです。年末年始でまたご挨拶できるとよいのですが。また執筆おひとりさまに戻ります。皆さん、お元気で。よいお年をお迎えください。じゃあね。