虚構世界で朝食を

Breakfast at fiction world

オンライン執筆グループ、『空閑』がスタートしました。

 こんばんは、kazumaです。新潮新人賞の原稿執筆の為に、長いこと潜っておりましたが、目処が付きましたので、ブログに戻って参りました。今日は、前回の記事でお伝えした執筆グループについてのご報告です。
 
 二週間ほど前から募集を行っている、オンライン上での執筆グループですが、多くの方に、ツイートや記事を見たよ、と仰っていただいて、嬉しい限りでした。現在は、私含め16名のメンバーが、執筆グループ『空閑』に参加しています。『Slack』というオンライン・ワーキングスペースを使用し、現在進行形でゆるゆると活動しています。グループスペースは、オンラインチャットと掲示板を足して二で割ったようなもので、主にメンバー同士の交流の為に使っています。自作小説を読み合って意見交換をしたり、原稿の進捗を互いに励まし合ったり、談話室で雑談をしたり、と自由にマイペースな感じでやっています。
 
 一応、執筆グループを立ち上げる為に、最初の段階で色んな方にお声掛けをしましたが、私は一参加者としてグループに参加する形で、運営者は参加しているメンバー全員ということでやっています。割とフラットに、色んなジャンルを書いている方がいて、年代・性別、執筆環境や目的もばらけた感じで集まっていますが、だからこそ学ぶものがあるし、皆やっぱり小説が好きだ、というその一点で繋がっているんだなということは、強く感じます。
 
 グループ名は『空閑』と書いて『ソラシズ』と読みます。執筆グループの名前を募集した時に、メンバーのある方がこの名前を提案してくれました。閑な時間に集まって小説の話が出来る『空閑』(くうかん、とも読めます)というダブル・ミーニングも相まって、メンバーの満場一致で決定しました。自分じゃ百パーセント思いつきようのないグループ名でしたので、考えていただけて良かったなあ、と純粋に思います。『空閑(ソラシズ)』という名前を覚えて貰えれば幸いです。
 
 まだ生まれたばかりの『空閑』ですが、これから徐々に、息の長い活動になってくれれば良いなと思っています。メンバーは随時募集しておりますので、グループにご興味のある方は@kazumanovelまでご連絡ください。小説が好きで、話し合ったりしてみたいという方なら誰でもご参加いただけます。好きなときだけ、Slackのグループ・スペースを覗いたり、書き込んだりできますので、気軽に入っていただけますよ。
 
 この前、グループ内でこんな話がふっと出ました。グループの中から文学賞の受賞者が出たら、夢みたいですね、と。メンバー全員が文学賞に向けて書いている訳ではないですし、小説を書く理由というものは、ほんとに人それぞれなんですが、その話を聞いた時、いつかそれが夢の話ではなくなればいい、と思いました。何年掛かったとしても、私は(あるいは、私たちは)小説家になりたくて書いてきたし、同じ思いで書いてきたことのある人たちがこの網の目の上にはいて、互いに切磋琢磨し合いながら、それぞれの望む文章の道に進んでいくことが出来ればと思って、立ち上げた、というのが本音なので。
 
 誰だって、いまの文章のままで立ち止まっていたくなくて、物語に見合う言葉を、森の中を必死で駆け抜けるように探している。森の中で、言葉の樹に生った林檎をこの手に掴んで味わいたい、というひともいれば、それを唆す蛇を自らの裡に飼おうとするひともいる。あるいはただ、森を越えた頭上の空を旋回する鴉を見上げるひともいるかもしれない。地面に落ちた団栗を綺麗だと思って無くさないように拾う人もいる。小説を書き続けて、その森の茂みから抜け出す頃には、皆が思い思いのものを抱えていて、それぞれの森を抜けていく。振り返ったときに、私たちには私たちだけの足跡が――、物語が見える。森の中に自ら迷い込むように足を踏み入れるのは勇気がいるし、森の外にいる人間には決して分からない孤独がある。単独行で物語の中へと突き進んでいくのが、ものを書くという勇気であることに違いは無い。けれども、言葉の森というものは、実は皆、何処かで繋がっているものだから、誰かが声を上げたら、ちゃんと声は返ってくる。時に道が交わって出会うこともある。言葉の森の中に居るのは自分だけじゃないと分かったら、ひとりぼっちで歩いている訳じゃないと分かったら、もっと森の中に深く入り込んで行けるかもしれない。自分では全く気が付かなかった道が、遠くの誰かの一声によって現れるかもしれない。その道の先にある文学は、自分一人では決して辿り着きようのなかったところへ、連れて行くように思えます。その先には別世界へと続く扉の門が聳えている。誰もがその虚構の門を叩いて開く為に、書くことを望むのだから。扉の先にあるものを、この眼で見ようとして。
 
言葉の茂みに隠された、誰の足跡もない深い森の中へ。
 
kazuma
 
追伸:新潮新人賞原稿の初稿が、原稿用紙換算117枚で完成を見ました。推敲の後、滑り込みで提出予定です。ようやく終わって、一息付けました。これから動いていくことが沢山あって、この一年を抜けた先には何があるだろうと、思っています。
 

f:id:kazumanovel:20180327223508j:plain