虚構世界で朝食を

Breakfast at fiction world

現在地

 約十日ぶりの更新。大まかに、週に一度くらいのペースではてなブログの記事を書いていけたらとは思っているけれど、時々色んなものを抛り出したくなる時があって、結局はマイペースに進めるのが丁度よいのだと思っています。
 
 kazumaがネット上から離れているときは大抵、現実で必要な作業を進めているときか、小説に根を詰めているか、あるいは充電中でのらりくらりとしている時なので、そう思っていただければよろしいかと。
 
 今日は自分の現在地をはっきりさせておく為に書きます。
 
 前回の記事から今回までの十日間の期間は、現実に必要な作業を進めていました。具体的に云えば再就職活動です。昨年の年末あたりから本格的に動いていましたが、一昨日である程度の決着と云いますか、一区切りは付いたと見ています。
 
 三日間の体験実習の期間を終えて、あとは手続き上の問題が片付けば、新しい職場で働けることになりそうです。古本に関わる仕事で、且つ、自分の病気に一定の理解がある職場を探していましたが、どちらも満たす求人があり、少しだけ胸を撫で下ろしています。アルバイトのような形ですが、私としては最低限の収入と、小説を書く為の時間、個人の古本屋としての経験を積めるだけの時間を稼げれば、それだけでも有り難いことだと思っていたので、渡りに舟でした。舟は自分で探しましたけれども笑
 
 一般的な就労とは少し違う形態の為、手続きが多少煩雑なところもあり、実際に働けるようになるまでには、もう一、二ヶ月ほどどうやら時間が掛かりそうですが、この期間に丁度、新潮新人賞の締め日があるので、取り組んでいる小説を何とか完成まで持って行きたい。今回は百枚程度でしっかり煮詰めたものにしたいと思っていますが、書いてみるまではやはり分からないところもあるので、進行次第ですね。
 
 今のところはまだ十三、四枚程度の掌編の段階です。プロット自体は練ったので、現実の問題がひとつ片付いたいまは、最後に自由に小説を書ける期間として、思い切り作品に向き合いたいと考えています。三月の頭までには作品にけりを付けて、推敲の後、郵送したいですね。期間が詰まってますが、書き上げる自信はあります。
 
 病に関しては相変わらず良くはなりません。どうにかこうにか凌いでいるという感覚です。悲惨なのがデフォルトの人生ですが、まあ腹括って駄目ならどうにでもなれよ、と思っているところはあります。
 
 溝水を啜って生きている気がしますが、病や一般社会という猫から、鼠みたいにしゃかしゃか逃げ回っては、本というチーズを囓ってひたすら文字を巣にせっせと溜め込んでいるような生き方です。灰色の人生ですが、これが自分に与えられた色なのだろうなと思います。恐らく選択肢は人よりも少ないですが、窮鼠猫を噛む、という諺もあります。本当に追い詰められた時に、自分の書くべき小説が書けるのではないかとも思います。一般的な解から私の人生はことごとく外れていますが、こうするしかなかった。村上春樹の小説に出てくる『鼠』には何となく共感を覚えます。彼だって好きで羊男の出て来る世界に入り込んだ訳ではなかったから。
 
 「俺は俺の弱さが好きなんだよ。苦しさや辛さも好きだ。夏の光や風の匂いや蝉の声や、そんなものが好きなんだ。どうしようもなく好きなんだ。君と飲むビールや……」鼠はそこで言葉を呑み込んだ。「わからないよ」
 僕は言葉を探した。しかし言葉はみつからなかった。僕は毛布にくるまったまま暗闇の奥をみつめた。
 「我々はどうやら同じ材料から全くべつのものを作り上げてしまったようだね」と鼠は言った。
 「君は世界が良くなっていくと信じてるかい?」
 「何が良くて何が悪いなんて、誰に分かるんだ?」
 鼠は笑った。「まったく、もし一般論の国というのがあったら、君はそこで王様になれるよ」
 「羊抜きでね」
 「羊抜きでだよ」
 <『羊をめぐる冒険(下巻)』村上春樹著 より引用>

 

 
 何処まで自分が転がり落ちていくかは分かりませんが、元々マイナスしか有り得なかったような人生なので、ちゃんとした本が一冊残れば十分、という私の本心はきっと変わらない。その上で、本に関わることでちょっとでも何か出来たらいいなと思うくらいのもので。他のことは挽回しようがないだろうなと。
 
 人生に対する一般的な希望は病に罹った時に、排水溝に捨ててしまった気がします。期待しても何にもならないことだらけだったので、もういいや、と思う諦めの気持ちがどうしても捨てられなかった。その換わりに代償として言葉と文字を貰いますよ、と心の中で決めていました。苦しかったり、悔しかったりするだけで、何にも残らない人生なんて厭だったので。
 
 今年は、新年の目標にも掲げたように、小説家になるという目標達成のための最後のターニング・ポイントとなる年だと思っています。だから、打てる手は打てるだけ打つつもりです。四月からは文学学校への入学も検討しています。
 
 また実際に小説を書く人と関わっていける年になればと思っています。昨年はネット上を介してオンラインで繋がった方が多くいましたが、今年は実際に会って話してみるということを心懸けたいです。古書店一馬書房としての活動もより本格的に、オンラインの網を抜けて現実へと還元することが出来るようになれば良いなと公私共に思います。
 
 小説を書く人同士が繋がっていけるように、その線を結ぶひとつの点となって、互いを刺激し合い文章を高めていくような繋がりの場を、最終的な段階で作れたらいいなと。その為の下積みとしてこの一年間を使いたいですね。この文章を読んでいる人の中に、お会いする人がもしかしたらいらっしゃるかもしれません。もし、そんな時が来れば、よろしくお願いします。
 
 初めまして、kazumaです……とご挨拶する日が、いつか。
 
 kazuma
 

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