虚構世界で朝食を

Breakfast at fiction world

新しい日々

ご連絡が遅くなりました、kazumaです。前回の記事にてお伝えしましたオンライン古書店『一馬書房』がこの度、開店することとなりました。開店までてんやわんやの状況だったので事後の報告となりましたが、改めてご紹介を。

 

開店から四日目が経ち、日々に落ち着きが戻ってきました。今日まで準備や初めての業務に追われ、かなり不規則な生活をしていましたが、何をするのにも体が基礎なので、今日は十時に寝ます(小学生並み)。開店に漕ぎ着けた後、様々な方にお声がけ頂きましたが、あまり無理しすぎてはいけないよ、ということをよく言われました。長い目で見て、営業を続けていくためにも、一度腰を据えて、生活を改めていきたいですね。ちゃんと飯食って、ちゃんと寝て、ちゃんと仕事してるやつには、誰も敵わないと糸井重里が言ってました。

ここ二週間くらいは、自分なりにかなり根を詰めてやっていたので、少し反動が来た感じがします。お店の方はいま閑古鳥が鳴いてますので(泣き笑い)、いまの間に回復してしたたかに準備しようかなと思っています。古本屋を先にやっていた先輩がたまたま前の職場にいて、お話を伺っていたのですけれど、やっぱりそんなに甘いものじゃないですね。でも、この古本屋の仕事は自分に向いている気がします。

 

小説の方も二週間ほど触れられない状態が続いていたので、ここらで筆を執るつもりです。原稿は325枚で止まっていましたが、さっさと終わらせたいと思います。メフィストを考えていましたが、エンタメの賞で推理色が強いものが受賞していることもあり、やはり応募に違和感を覚えるところがあるので、別の賞を考えています。年内には提出予定。あと文藝賞の結果が7日に公表されます。大賞は既に決定しており(63歳の主婦の方らしいです)、選考がどこまでいけたか、あるいは門前払い喰ったかどっちかなのですが、自分の眼で確かめようと思います。結果の如何に関わらず、その作品は電子書籍化予定ですので、また機会が来ましたら告知させていただきますね。

 

ともかく、面白い動きが一杯増えてきました。ひとりで地道にこつこつと描き続けてきたラフスケッチが、いつの間にか縁取られて、そこに興味を持ってくれた誰かがそれぞれに色を付けてくれました。このブログの初めにもありましたように、いつか繋がっていない点と点がどんどん繋がっていって最終的に大きな絵画を描き、ものを書いたり読んだりする様々なひとの人生が青い糸のような線の形となって繋がることを望んでいます。その額縁の中には、このブログを読んでいる方々もそこに居て欲しいなと個人的に思います。モノローグの言葉だけなのは、もう沢山ですから。言葉は誰かにものを伝える為にあるし、ひとりぼっちになる為のものではなくて、ダイアローグであると思います。私自身の人生は閉じたモノローグのようなことを繰り返してきましたし、小説も白い壁に向かって呟き続けるような物語ばかりを書いてきましたが、現実の世界では、私も生身の人間なので、誰かと繋がりたい気持ちが強くあります。でも言わなかったら、分からないから、自分の一番得意な文章という形でブログという媒体を借りて、状況をお伝えしています。

 

私の好きな作家の中村文則さんは、小説とは最も深いコミュニケーションの形態だということを述べました。作家は自分の考えていることをさらけ出して書き、読者はそれを言葉を読むという行為を通して、丸ごと自らの中に含むことになる。通常の会話では、小説ほどの密度で自らを表現することはないから、ある意味では最も親密なコミュニケーションなのだという主旨のことを言っておられました。私が考えているのは、単に作家と読者に終わるだけの関係ではなく、お互いが作家にもなり、読者にもなるような関係です。一方が小説を書けば、もう一方が受け止め、受け止めた方も小説を書いて返して、先の書き手も読者になって読む。もし小説が最も深いコミュニケーションの形態であるとするなら、それが双方向になされた時には、通常では考えられないような深い意識の繋がりとなると思います。そういうことを繰り返してきたのが、かつての文豪達の世界であり、また現代に生きる作家達の世界ではないのかなと思います。

 

新しい日々の中へ。

 

kazuma

 

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(藝術に全てを捧げた天才絵師良秀を描いた芥川の『地獄変』。一馬書房でお取り扱いしています。最後に宣伝でした笑)