虚構世界で朝食を

Breakfast at fiction world

Re:START

 初めまして、と言うべきか、お久しぶりです、と言うべきか。多分その比率は99:1くらいなのだろうけれど、ここに記すのに丁度良い、ぴったりくる言葉が見つからなかったので、『こんにちは、ハロー』とでも言っておこう。きっと現実で私はこんなことを言わないだろうし、言えないだろうが、ここは半分現実で半分虚構みたいなところだ、と個人的に認識しているので、好きなように言葉を選ぶし、言いたいことを言うつもり。小説ほどではないにしろ。

 

 ネット上では、kazumaと名乗っている。ありふれた名前だし、名前に特に意味はない。でも、これは私のペンネームの一部のようなものだ。本名でない、というところにだけ意味がある。別の名前を使ってものを言う、ということは、その名前を使う以前の自分とは、すっぱり縁を切って、別人を演じることのようにも思える。その方が私にとっては何かと都合が良いし、そもそも本名を好まない理由は、いくつか思い付けるがそれは単純に名前を曝したくない、というだけの理由から来るものかもしれない。

 しかし、そんな意味もない英数・六文字であっても、使っている内にそれなりに愛着が湧いてくる。この名前を使って、誰かと言葉のやりとりをしていると、誰の顔も眼も見えないインターネットの網の上に、自分自身の分身が存在している、と確かに感じられる。言葉によって息を吹き込まれたもうひとつの人格。それは現実の中から生まれたものであるはずなのに、いつの間にか虚構の中で息をしているかのように思えてくる。

 因みに、このブログタイトル『虚構世界で朝食を』の由来のひとつは、そういうところから来ている。現実世界で朝食を取っている自分よりも、虚構の中で朝食を取っている自分の方が遙かにリアリティがあるように思える、ということだ。どこかで似たようなことを言っている作家が居た。確かボルヘスだったと思う。現実に存在している月よりも書物や空想の中にある月のことを思い浮かべることの方が容易い、というような意味のことを彼は言っていた。

 勿論、原題の作品に思い入れが人一倍あることは言うまでもない。99:1の1の方の人は知っているかもしれない。

 時々、Twitterや昔のブログを眺めていた時に、これは本当に自分自身なんだろうかと思うことがあった。現実の私は、よっぽどのことがない限り、見知らぬ人に話しかけたりはしない。でもネットという現実と虚構が入り交じった地帯のようなところでは、少しだけ人に対する臆病や抵抗が消えている気がする。それまでの私にとって、自分を打ち明けられる相手というのは、小説を書くノートの中だけだった。それは、本質的な意味では、いまも変わらないし、きっとこれからも変わることはないだろう。でもそれはそれとして、小説の中にそのままで書けないことを、これからこのインターネットのノートに、再び記していこうと思う。それは、今まで自分がネット上にある他の人達のノートを読んできたからで、何気ないふとした日常の言葉から、自分の考えを覆してしまうような非日常の言葉までを、やり取りしてきた『1』の人達のように、これから『99』の人達と、自分の言葉で話すことが出来れば良いと思ったからである。

 かつて誰かが自分にそうしてくれたように。

 このブログが、単なるモノローグで終わるのではなく、読まれることによってダイアローグになるということを私は個人的に信じます。

 *

 私は小説家を目指しています。これから、このブログには、自分自身の活動と思考のログ、そして小説家になるまでの過程を標すことが出来ればと思います。それがどんなに長く遠い道程でも。

 初めまして、お久しぶりです。

 Kazuma

 

 Re:START 2017/06/01

    To:               2019/03/31